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聖ペテロの干物

 カンヌでの仕事も終わったので、ジュアン・レ・パンという街まで足を延ばして打ち上げをする。

 まずは、食事。ミケランジェロというイタリア料理店で、本日のおすすめというサン・ピエールという魚を食べる。料理人が、下ろすまえの魚を持ってきて、エラの近くの斑点を指しながら何か言っていたのだけれど、フランス語の堪能な同席者も理解できず。

 ということで、いま調べてみました。まず、魚の日本名はマトウダイ。名前の由来も、検索してきたら出てきました。なるほどなるほど。と、僕はこうやっていちいち立ち止まって書くからブログの更新が遅れるんだな。

st vrai que Paris est une fete ?

フランス語ではサン・ピエール(=聖ペテロ)といいます。聖書(マタイによる福音書17章24~27節)にある、湖で釣った魚の口のなかに入っていた銀貨で神殿税を払ったというエピソードがもとになっています。お腹にある大きな斑点は、ペテロが銀貨を取り出すためにマトウダイをぐっと押したときの、親指の跡なのだそうです。

 かなりのワインと、さらに大量のクレーム・キャラメルを平らげてから、カジノに繰り出す。このジュアン・レ・パンのカジノってのが、またシブいとこなんだ。ラス・ヴェガスのキラキラした明るい感じとは対照的な、一昔前の温泉場みたいな感じ。入場料がなんと11ユーロ、飲み物も無料なのは1杯目だけ。ディーラーも愛想がなくって、ある意味新鮮。

 ブラック・ジャックで遊んだあとルーレットをしたら、1回目から見事大当たり36倍。で、近くのオジサンが「お前はラッキー・マンだ」と言いながら、僕が張った2回目のチップを自分の狙い目に移しちゃうんだよね。

 僕も面白そうだからオーケーしたけど、これには爆笑。だってさ普通は、ラッキーな人の狙い目に、自分のチップを置くんじゃないの? ラッキーな人のチップを自分の狙い目に持ってくるんじゃなくて。で、予想どおりハズレ。それからは、ひたすらブラック・ジャックでコンスタントに負けるんだけど、2から27くらいまでの数字についてフランス語の呼び方を濃密に学んだ気がする。

 夜中の3時くらいになったので、みんなで引き上げることにしてタクシーを呼んでもらう。「2分待って(ドゥ・ミニュト)」って言うので待っていたけど、30分待っても一向に来ない。そこでもう一度訪ねたら「プロヴァンスでは夜中タクシーはないよ」だって。さっきの「ドゥ・ミニュト」は何なのかと小一時間問い質したいのを我慢して、カジノの車を出してもらうように交渉。

 1台しかない車がカンヌに行って戻ってくるまで、残った僕らはマシンで時間をつぶす。ヴィデオ・ポーカーも「ジャック以上のペア」って役がないから苦戦するし、スロットに至ってはひたすら硬貨を吸い込まれるだけ。そうしてポケットの硬貨を残らず吸い込まれたころ、ようやく車が到着。

 午前4時、僕らはサン・ピエールの干物みたいになって宿に戻る。

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