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花の都と世界一の炒飯

 寝不足のままニースの空港からパリ行きの飛行機に乗る。離陸して上空を旋廻するとき、眼下に、深い深い深い青色の地中海と白い家々が見えた。ここは本当に「紺碧海岸」だったのだ。ある高度がこういう気づきに必要なのならば、いちど宇宙から地球を見たい。

 なんてことを思って熟睡し、目が覚めたら肌寒い秋のパリだった。オペラ座に程近いホテルに荷物を置いて、やっぱりオペラ座のすぐ近くにあるオフィスに行く。もっとも、僕は、パリに来るのは3回目のくせに、オペラ座がパリのどこにあるかなんて全く知らないんだけど。

 夜、K氏に連れられて百喜/Chez Liという中華料理屋に行く。途中で彼がマドレーヌ寺院だとかヴァンドーム広場が近いと話してくれたのだけれど、やっぱりそれらがどこにあるのか僕には皆目見当がつかないわけだから、僕はただ、この街の重厚さに圧倒されながらあとをついて行く。

 店では完璧な酸辛湯や、カンヌでも日本人から噂を聞いていた炒飯を食べる。この炒飯ってやつが最高で、炒め具合といい具の加減といい、世界一なんじゃないかと思うくらい。そんなわけで、二人でワインを2本も空けてしまう。

 それから、「パルマの生ハムがあるから来ないか?」という抗い難い誘いに乗ってK氏のお宅にお邪魔する。彼の部屋はモンパルナスの方にあると言うので、地下鉄に乗ってセーヌ側を渡る。だから、モンパルナスは、オペラ座やマドレーヌ寺院やヴァンドーム広場とは逆の岸にある、ということが分かった。

 僕がフランスのビールを飲んでみたいと言ったせいで、1664というビールの1リットル近い大瓶をまず、空ける。しょっぱい生ハムのせいで僕らはもう少し飲むことになり、さらに赤ワインを一本空ける。窓を開けたら、意外に暗いパリの夜空で、エッフェル塔が花火みたいに燦燦と輝いていた。 

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