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みんな雰囲気でものを言う

 新宿で買い物をしようと思い立ち、天気がいいので歩いていくことに。僕はつい、京橋から学芸大学とか、六本木から旗の台とか、青山から溝ノ口とかを歩いてしまう。だから、三宿から新宿ってのは大したことじゃないんだけど、それでもまぁ、友だちからは呆れられる距離ではある。

 プライベートな交通機関としての徒歩。きょうも車窓からいろんな風景がみえる。可笑しかったのは代々木にある定食屋のメニューで、定食の名前が大学の名前になってるんだよね。予備校の街って感じだ。

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 で、面白いのでよく見てみる。写真に写っているように、東大はヒレカツ、青学はチキンハンバーグ、清心はチキンハンバーグと唐揚げ、白百合はチキンハンバーグとエビフライ。カメラには収まりきらなかったけど、慶応はコロッケ2コ、上智はエビフライ2本、法政はハンバーグ。

 ヒレカツってなんかドーンとした感じがするから最高学府で、チキンハンバーグとエビフライは小洒落た洋風な感じだからミッション系で、ガッツある感じがするからハンバーグは法政? コロッケは利益率高そうだから実学の慶応ってこと? 大枠としては分からなくもないけど、清心のほうが青学より量が多いってのはピンとこないなぁ。本当の彼女たちはすごく食べるのかも知れないけど。

 ともかく、そのあと、引っ越し以来の懸案だった風呂イスと洗面器を探す。浴槽は黒で床はグレーにしたので、イスたちもグレーか黒がいいなぁと思う。で、グレーのいいセットがあったんだけど、手にとって仰天。「Italian Message」って書いてあるんだよね。丁寧に金色で彫り込んである。イタリアン・メッセージ? なんで?

 形も値段も悪くないけど、わざわざ書いてあると気になってしょうがない。気にはなるけど、明らかに意味がなくて、オチのないダ・ヴィンチ・コードみたいでタチが悪い。気にしなければいいんだろうけど、今後の風呂生活で絶対に気になってしまうので、泣く泣く諦める。

 「イタリアン・メッセージ」はブランド名らしいんだけど、風呂イスに座って手桶で背中を流すイタリア人って、僕にはなんだか想像しづらい。いや、そんな微視的な話じゃなくて、イタリアの生活哲学のことだろうか。でも、そのお題目に腰掛けてもあんまり有難くはない。

 別の店で、別の風呂イスと洗面器を見つけ、また愕然とする。そこには「Take One’s Ease」って書いてある。いいよ、言われなくてもくつろぐよ。そして、One’s Easeって。♪It’s your ease or my ease or somebody’s ease? 誰かの為に生きられるなら なにもこわくはない(Ins by 小室みつ子)。ただ、これは彫刻じゃなくてシールだったので買うことにする。

 東京大学定食といいイタリアン・メッセージといいテイク・ワンズ・イーズといい、どうやらみんな、雰囲気でものを言っているなぁ。僕も脊髄反射みたいなノリでいい加減なことをよくしゃべる(のみならずブログにまで書き捨てる)ので、他山の石としよう。

 東京大学定食ははじめから冗談だと分かっているけれど、冗談とも本気ともつかない「イタリアン・メッセージ」と書かれたイスが、きょうも中国かどこかの工場で大量生産されてると思うと、なんだか切ないな気分だなぁ。大量生産される、プラスティックと賑やかしの言葉。

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