- November 8, 2007 9:31 PM
僕の期待通りだったのは、郊外の滞在を満期できたこと。僕の期待以上だったのは、柿が実は素晴らしく旨い果物で、さらに、柿園の散策もまた素晴らしいものだったことだ。
「ほぼ義父」っていう言葉が適当かどうか分からないけど、この柿園は、ご存命なら来年の夏に僕の義父となっていた方のお気に入り。画家であった彼の絵が飾られた農園の一室で、好々爺の園主がとつとつと語る思い出話に、僕らはおじさんの人柄を偲ぶ。
よく晴れた高い秋空には、色鮮やかなパラグライダーが浮かんだりしていて、そんな遠景を山道から、たわわに実る柿の実越しに眺める。「春には向こうの山の桜が綺麗ですよ」と柿園のおばさんに教わって、僕はその前にもう毎秋ここを訪ねるつもりでいたから、その頻度を年2回にしようかと思い直す。
果樹園で供された柿は----今となっては言うまでもなく、というところだけど----、僕のいままでの柿体験を津波で洗い流す旨さだった。皮ごと食べられる、と言われるままに齧れば、その歯応えと甘さが顎関節に響いて思わずにやけてしまう。これらが皇室御用達の献上柿となるというのも、納得。
柿園のあとは、「ほぼ義父」ことおじさんが遺した近くのアトリエに行って、2時間たっぷりサックスを吹く。曲目は「瞳をとじて」と「涙そうそう」、そして「ハナミズキ」。窓を開けて風と光を受けて、秋の刈田を眼下に見ながら、出来不出来はともかくとして楽しむ。都内のスタジオとは大違いだ。
平日はどっぷりと都会生活で、それはそれで好きだったりもするけど、やっぱり週末は自然の豊かな郊外で、果樹園の散策なんかして過ごしたい。
アトリエの主は、「柿の実はゆっくりゆっくり朱くなる」と喜んだそうだ。感慨深げに話される様子が目に浮かぶ。僕らの人生もまた、そんな風に豊潤に熟していくものであって欲しい、なんて考えたりするけど。You've got to get into the groove!


