羽田空港第1ターミナルのレストラン「新大和」と「ル・シエール」とでは、アメリカン・エキスプレスのカードを出すと、簡単な食事をご馳走してくれる。みんながみんな飛行機を愛しているわけじゃないし-僕もきょうは時間が許せば新幹線で行きたかったし-、飛行機派でもJALに乗るとも限らないし-ANAだったら第2ターミナルだ-、さらに、JALに乗ったとしても悠長に食事をする時間があるとは限らない-僕も羽田で飛行機にャンプ・インたことが1回、動きつつある搭乗の列を横目に上司とカレーをかき込んだことが2回-。だから、本当にどうってことのない話だ。
でも、そのどうってことのない無料特典は、意外にプライスレスだったりする。年会費を2万円だったか払ってることを考えたら、時価1,000円くらいの食事を年に何回か奢ってもらったところで、割に合わない。でも、なんだか、旅行に強いアメックス、って感じは強まる。そして、なんだかそれだけで、ちょっと楽しい気分になる。
そんな通称「アメックス定食」が今年いっぱいで終わりだとか。通称、なんて言っているけど、僕は今年の1月にカードを作ってみたばかりだから、聞きかじった呼び名でしかないけど。でしかないけど、その半ば侮蔑するような、それでいて、ちょっと愛着がなくもない、そんな語感にはすごく親近感を感じる。学食の人気メニューは、ちょうど、こんな感じで呼ばれてた気もする。
たかがタダメシ、されどタダメシ。そんなわけで、きょうの大阪ンボ帰り張の往路は新大和で海老玉丼、復路はル・シエールでハヤシライスをご馳走になる。こうやって、アメックスを搾取しているような気分になりながら、その実、なんだか忠実な顧客になっていたりするから、すごく悔しい。収賄で捕まったりしたら、こんな気分なんだろうね。タダメシ、おそろし。
ちなみに、「ル・シエール」で申し訳無さそうに-あるいは、せいせいした様子で-、渡された説明書きには、いわゆるアメックス定食が12月末で終了すること、その代わりにラウンジもあること、が紹介されていた。カード会社のラウンジは大抵が病院の待合室みたいな感じだし、まして羽田で悠長に潰す時間は残念ながらないのが常だから、あんまりありがたくもない。
…と書きながら、僕はアメックス定食を、なんだかんだ言って楽しんでたんだな、と気づく。愛されていたか否かを計るには、結局のところ、去り際に与える未練が一番明確なのかも知れない。
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