- February 23, 2008 3:41 PM
- 食べる

外食といったら、祭りだった。マタドールとなって肉塊と格闘し、ロンドを舞うように円卓を回す。ところが、かつて予想だにしなかったことに胃腸が弱ってきた。脂っこいものは避けたい。けれど、大人の会食としての格好もつけたい。心躍るハレではなく、心和むケの料理として京料理屋の暖簾をくぐる。
でも実は、京野菜ってちょっと鼻持ちならない言葉だな、なんて思っていた。「京」が枕詞につくだけで上質感・正統感・はんなり感が漂い、それは、粗野でポップでべらんめぇな関東への挑戦のようであって、尊王攘夷論的ですらある。だって、ただの野菜じゃん?
ところが。こうしてあらためて食べてみると京野菜というのは、べつにイデオロギー的に身構える必要もなく、ただ全体に濃縮された土っぽいコクのある旨い代物で。とくに海老芋は親知らずのあたりから下顎に浸みこむような滋味で、山の神様に感謝。
牛スジの煮込みも、しっかりと味が効いているのに、それでいて汁はさっぱりしていて、五臓六腑に優しい。このあたりでビールから吟醸酒に切り替えた僕は、当時読んでいた「日本社会の歴史」をざっと思い起こして、愛国心を深く噛み締めていた。
派手さはまったくないけれど、至福の晩餐として付箋紙を貼っておこう。こういう料理を毎日食べて、早く枯れたおじいちゃんになろう...なんて思った数日後に、宅配ピザを深夜ひとりで平らげたりしているから、道のりは長い。
金時草と菊の花の辛子味噌和え
鮪と三つ葉の和え物(辛子醤油)
烏賊と鯛の酒盗
青い万願寺唐辛子とじゃこ
うるい
海老芋の小芋と自家製カラスミ
鮪のお造り
新玉葱、京人参、菜の花と牛スジの煮込み
赤ムツ焼、赤い万願寺唐辛子、沖縄・愛媛・京の人参、島ラッキョウ
クエの煮物、ポン酢で
山形産ゆめごこちのご飯、京漬物、味噌汁
なんて具合に、翌日に電話で料理を確認。キンジソウとか言われても字が浮かばないもんね。これが8,000円のコースで、あとは飲むだけ飲んでひとり13,000円くらい。


