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ル・カメレオン (パリ)

 夜はO氏の案内で、モンパルナス(Montparnasse)のビストロ、ル・カメレオン(Le Cameleon)で会食。席に着くとさっそく、白髪にピンクの眼鏡というチャーミングな出立ちでジャン-ポール・アラビアン(Jean-Paul Arabian)氏が挨拶に来てくれた。気さくな彼は、けれど、「私をパパだと思って、肉の焼き加減は任せて欲しい」という。怠惰な僕は、そもそも店がいいと思うように出してくれればそれでいいのだけれど、「私をパパだと思って」ってのが特に気に入る。父性の料理もいいじゃないか。

 会食にありがちなことに、前菜は何をとったのか忘れてしまった。昼も目一杯食べてしまったので、たしか軽めの皿にしたような。シャンパンで乾杯して、無難にはじめる。その癖、結局ちっとも軽くは収まらないのが僕らの持病だ。誰かがどっしりした赤ワインを頼んで、それならということで、僕も主菜は仔牛の肝臓(foie de veau)に。臓物上等。
 塊の肝臓と澱の見える赤ワイン。辛うじてナイフとフォークを使っているだけで、それらがなければ野蛮人そのもの。内なる野性が解き放たれる瞬間。こうしてS2機関を自ら取り込み活動時間が無制限になった――のかどうかは知らないけれど、結局ハシゴして夜明けまで飲む。そして、ほうほうの体で何とか早朝の北駅まで辿りついて、ユーロスターで爆睡。隣席の上司に起こされ、気づけばロンドン。

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