- April 29, 2008 2:04 PM
愛国心に燃える青年が祖国の国旗を持って長野に集まる、というのと、今後の人生や故郷の肉親を人質にとられた状態で否応なく動員される、というのは明らかにニュアンスが違う。否、両者は単にニュアンスが違うのではなくて、両者は自由をめぐる正反対の状況を示している。前者のケースに異論はないけれど、後者のケースが真実ならば、中国の人権問題の根深さを思わずにはおれない。
まずは報道記事。産経新聞は4月17日、ウェブで次のように伝えている。
在日中国人留学生でつくる全日本中国留学生学友会は17日、北京五輪の聖火リレーが26日に長野市で行われるのに合わせて、日本各地の留学生ら約2000人の中国人を長野市入りさせる計画を進めていることを明らかにした。
(在日中国人2000人が長野へ集結 聖火リレーで)
"報道した意図"はともかくとして、淡々とした説明に終始している。一方で、4月25日に書かれた林則徐氏(ペンネームでしょう)のブログには鬼気迫るものがある。
今、帰宅したところ、自宅に明日の午前6時24分発「あさま501号」の指定席のチケットが届いていました。
(略)
明日の朝、指定された列車の席に着かなければ、私は間違いなく『漢奸』の烙印を押されることになるでしょう。
そしてそれは、私にとってこれからのビジネスの道が閉ざされるであろうことを意味します。
しかし、お仕着せの五星红旗を掲げたりT恤(Tシャツ)を着たりして『统一宣传活动』をすることなど、例えこの身が八つ裂きにされようとも断じてしようとは思いません。
私はいったいどうするべきか...
(徒然草「大変なことになってしまいました!」)
そこで同氏は知人に相談するのだけれど、次のように助言される。
「いいですか? あなたが不利になるということは、あなただけの問題ではないのです。 あなたの会社や、あなたのお母様の親戚まで巻きこむことにもなるでしょう。」
「母の...!」
恥ずかしながら、そんなことまでは全く考えてもいませんでした。
しかしながら、美國の王千源小姐の例を見れば、『漢奸狩り』の手が、大陸に残る母の親族に及ぶ危険は十分に考えられます。
(徒然草「「長野」から戻って参りました」)
前後の文脈から、知人の発言は決して脅迫ではなくて、親切な助言として発されたものであることが読める。つまりここには、本来ならば無関係であるべき長野への動員の出欠と、故郷の肉親の安否とか不可分にリンクしている現状が示唆されている。知人は脅しているのではなくて、あたかも「傘をささないと濡れる」というような注意を促しているだけなのだ。それが却って空恐ろしい。
中国政府が本当に恐れているのは、チベット独立の容認がウイグルや内モンゴルの独立運動に連鎖していくことではなく、思想信条の自由が北京の天安門広場に飛び火することなのではないか。林氏のブログを読んで、抑圧にくすぶっているのは何も辺境のチベットばかりではないと知る。
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