- May 2, 2008 3:28 AM
- 暮らす

左肩には「特別なご案内」と、中央には「あなた様を、『プラチナ・カード』の世界へご招待いたします。」と書かれた、謙遜の片鱗もない封筒が届く。このアメリカ文化剥き出しのコピーは、果たして、アメリカン・エキスプレスのものだった。このカードを僕は解約しようとしていたくらいだから、ネットで様子を窺いつつ、「プラチナ・カードの世界」が如何ほどのものかを確認していくことにする。
封筒のなかには「アメリカン・エキスプレスのカード会員さまへ」という手紙が添えられていて、「プラチナ・カードは、アメリカン・エキスプレスから限られた方をお誘いする特別な一枚でございます。」という自尊心をくすぐるような文句がある。けれど、これは額面通りに受け取らない方がよさそうだ。ネットでは、「現在プラチナはかなりの『乱発』状態のようです。(略)経済誌などにも書かれていますが、結局は経営難のアメックスの会費稼ぎ策のようです。」なんて書かれている。
年会費無料のクレジット・カードもあるというのに、年会費105,000円というのは破格だ。「あなただけに」という触れ込みで2月に大量発送される水商売のチョコレートにも似て、真に受けて鼻の下を伸ばすと単に貢ぐだけに終わってしまうかも知れない。ただし、アメックスには優秀な部分も多いから、費用対効果を見極めて署名をしよう、と思う。
ラス・ヴェガスでかなり有利なレートでトラヴェラーズ・チェックを発行してくれたり、パリのホテルでは「ル・クラブ・プレジダン(Le Club President)」という階に通されたり(ほかのカードを出した同行者は別の階だった)、つい先日も数時間後にサン・フランシスコから東京に飛ぶ航空券を探してくれたり(結局は頼まなかったけれど)、旅行の場面での強さは圧倒的だと感じている。この先が気にならないでもない。「お申し込みは同封の申込書にご署名いただくだけでございます。」と書いてあるので、同封の冊子やらネットやらをよく調べて考えてみよう。
ちなみに僕は生活全般にずぼらで、野菜の相場すらよく知らない。紀ノ国屋の値札は全て割高で、サミットの値札は全て手頃だ、という大雑把な理解で良しとしている。だから、例えばサミットの売場で彼女に「最近野菜が高い」と言われたとしても、僕は「サミットなのに?」という的外れな返事しかできない。けれど、クレジット・カードとかマイレージといったほとんど形而上的とすら言ってもいい抽象的な消費生活については、我ながら不思議だけれど異様に研究熱心だ。そこにはハムスターのような賤しい収集癖を刺激する何かがあるからだ、と認めなければならないかも知れない。


