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未だ見ぬストイックな朝のために

  • Posted by: Syntax
  • June 29, 2008 10:07 PM

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 低血圧のせいか分からないけれど、僕は朝が弱い。そのせいで却って、夜明けくらいに早起きして近所をランニングしてシャワーを浴びて、さらにシリアルを食べて新聞に目を通してから悠々と出社したい、という熱望がある。その熱望のために僕は過剰に早く目覚ましをセットして、一旦は起きるものの案の定二度寝をして、結局はシリアルはおろかコーヒーも飲めずにバタバタと家を出る、という悲哀を幾度となく経験している。寝過ごすほどの理想の枕を手に入れたのならば、理想の朝を演出する目覚ましが欲しい。早起きへの熱望とコンプレックスとが物欲に化けてベッドサイドを襲う。

 まず、ラジオつきアラーム・クロックでiPodが接続できるものを探した。夜はiPodで好きな音楽を聴きながら眠りの海に沈み、朝もまた好きな音楽に導かれて活動の水面に浮かびたい。この基準で一番良さそうだったのが日立マクセルのMXSP-2100だったのだけれど、結局は見送ることにした。主な理由はふたつある。

 まず、好きな音楽では僕はなかなか起きれないのだ。小学校のころコンポのタイマーをセットしてヴィヴァルディの「四季」あるいは「調和の幻想」を毎朝大音量で流したのだけれど、起きるのは家人ばかりで僕にはなかなか効果がない。もちろん、起床の音楽としては選曲にも難があった。

 けれど、本質は選曲ではない。最近もTVのタイマーをセットしてニュースとともに起きる、という試みをしている。確かに半分目覚めてニュースは聴こえるのだけど、それはただ睡眠学習的な効果にとどまってベッドから飛び出す気が起こらない。ニュースが終わって連続テレビ小説「瞳」が始まると、僕はその音声だけで寝ながらにして退屈になってしまうからむしろ逆効果だ。こんな具合だから、音楽はやめた方が賢明だろう。

 次に、ならばアラーム音ということになる。目覚まし代わりにラジオやiPodが起動するのはいいアイディアなのだけど、僕に必要なのはやはり耳障りなアラームなのだ。けれども、この製品のアラーム音は石丸電気やらソフマップやらで鳴らしまくったけれど、店内の騒音を差し引いても音量不足なんじゃないかと思う。これだけ多機能なのに、アラームの音量を変えられないようなのが残念。

 そこで、結局はヤマギワ・リビナ本館で見つけた電波時計にする。電波による時刻補正が売りなのに、展示している電器屋では電波状態が悪くて肝心の電波を受信できない、というのはどうかと思う。けれど、自宅で電波を受信しなければ諦めて手動で時計を合わせればいいのだし、なによりも小さな本体に似合わない大きなアラーム音がいい。しかも、温度計と湿度計もついていて無駄に楽しい。

 家に帰ってベッドサイドに置くと、早速電波を探索し始める。果たしてうちは"圏内"なのかとドキドキして様子を見守ると、心配させるほど長い探索の末に現在時刻を表示。これが日本標準時か!と妙に感動する。今まで気にもしなかった居室の温度と湿度も分かり、これもまた僕のだらけた生活にストイックさを加味するようで頼もしい。

 唯一の難点は、明るさを二段階のうち暗い方に設定してもなお、LEDがちょっと眩しいことだ。あんまり明るいと、こいつがドラマ「LOST」の時計のごとく僕の生活を支配するのではないかと警戒してしまう。いや、むしろそれくらいで丁度いいのかも知れないけれど。無政府状態の朝をなんとかすべく、僕は進んでこの暴君を迎え入れたのだから。すべては、未だ見ぬストイックな朝のために。


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