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リストランテ・カノヴィアーノ

6月20日、入籍1年目を記念して妻と代官山のリストランテ・カノヴィアーノでランチ。自宅から代官山なら車で行った方が便利なのだけれど、昼間っから飲むつもり満々でバスと電車でいく。計画通りワインを堪能して、初夏の太陽が照り付ける代官山をほろ酔いで歩く。昼間っから酒を飲むなんてダメ人間だと思うけれど、ダメでも幸せならいいじゃないか。ただ、ワインのせいで、料理を思い出すのにちょっと苦労する。

シェフのおまかせコースは次の7品だった。

  1. トウモロコシのブラン・マンジェ
  2. シマエビのカッペリーニ
  3. ヒラメのカルパッチョ
  4. ジンドウイカのソテー
  5. ウサギとユリの芽のフェットチーネ
  6. タチウオのポワレ
  7. カモのグリル
  8. ジェラートのベリー・ソース / 冷たいマスカルポーネ

ブラン・マンジェは、振りかけられたイギリス産の岩塩によってトウモロコシの甘さが際立っていた。それは小学生の頃に高知の祖父母の家で食べた穫りたてのトウモロコシの滋味を思い出させた。

冷製のカッペリーニのソースはフルーツ・トマトで、外の暑さを忘れさせる爽快な甘味があった。これにはシマエビのほかにカラスミも添えられていて、シマエビのジューシーさとカラスミのコクが対照的でそれぞれに楽しかった。このあたりから、僕はグラスでソアヴェ・クラシコを始める。半地下の店内から眩しい通りを眺めながら冷たい白ワインを飲むなんて、この季節この時刻だけに許された楽しみだ。それには多少辛口のこんなワインがいいなんじゃないかな、なんて思う。

カルパッチョに盛られたルッコラの原種という野菜は、ノコギリ状の細い葉をしていてルッコラ以上に苦味があって、ヒラメのとろりとした甘味をスパイシーに引き締めていた。ルッコラの他にはホオズキの果肉も添えられていて、僕はそれを初めて食べたのだけれど、熟したトマトのような食感にプラムのような酸味があって美味しかった。他にも青トマトが添えられていて、こちらは赤いトマトよりもシャキシャキとした歯応えがあり、一皿で野菜の幅広さを見せつけられることになった。

ジンドウイカのソテーは、僕がいままでに食べた焼きイカのなかで一番美味しいと思った。イカは大抵焼くことによって固くなると思っていたけれど、このジンドウイカは火が通ることによって生よりもなおみずみずしく柔らかくなっているようだった。そういう火加減というものがあるのだろう。この小ぶりなイカは軽い焼き色をまといながらも海水を思わせる水気があって、こればかりは家では絶対にできないだろうな、と思った。

フェットチーネのウサギ肉は青森産だったか秋田産だったかとのことで、国産のジビエってなんだか旅情がある。ちょうど数日前に中華料理店でユリの芽の炒めものを食べたばかりだったので、この中華食材がフェットチーネに添えられていたのも新鮮だった。

ポワレされたタチウオは焼け目から香ばしい匂いがして、淡白で上品な味わいに野趣を加えていた。これに添えられた緑色のソースがなんとアスパラガスのものということで、あの繊維質な野菜が液状になっているのを見るのは不思議な感じだった。けれども味はまさにアスパラガスのもので、例えばエンドウマメのソースよりも舌触りがさっぱりしていてクドさがなく、タチウオの風味に合っている気がした。

カモはバルサミコのソースで、締めは王道という印象。これに合わせて赤ワインをお願いしたらヴィーニャ・クステラというシチリア産を勧めらられる。同地の地ブドウ、ネロ・ダーヴォラという品種でできているという。ボディはしっかりしているものの、スパイシーな香りがあって飲み口が重すぎることもなく、レアに焼かれたカモとよく合っていたカモ。なんて酔っているうちにデザートへ。

ウェイターが持ってきた2皿はジェラートのベリー・ソースと冷たいマスカルポーネのクレープ巻きで、妻が前者を僕が後者をもらう。冷えたマスカルポーネはアイス・クリームのような舌触りののちに濃密な後味を残す。その周りにはエスプレッソ風な苦みの、しっとりとしたスポンジが巻かれていて、男子向きな味だった。ベリー・ソースのジェラートも好きだけれど、入籍記念日というTPOを考えたら男子は飽くまでも男子っぽくいくのが正解。こんど別の機会で来たら、思いっきり甘いドルチェにいってみよう、そうな気にもなるのかなんて考えたりもするけど。

カノビアーノ (イタリアン / 代官山、恵比寿、中目黒)
★★★★ 4.0

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