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神楽坂ナイト

妻の友達が僕の合格祝いというか壮行会というかを開いてくれる、ということで会場のある神楽坂へ。緑道沿いに下北沢へ歩いていき、小田急線で新宿へ。新宿では父がくれたモンブランのペンの名入れができたというのでこれを受け取って、さらに飯田橋へ。神楽坂は仕事の会食でかみくらに来た以来久しぶりだけれど、今回歩いてみて、かみくら的な洒落た民家風の造りの店が存外多いことに気づく。とはいえ花より団子ということで焼肉を堪能して、そして2次会ではダーツとカラオケとを時にる。

ちょっと迷った末に路地を抜けて、Kちゃんが予約してくれた焼肉店・翔山亭のビルを発見。ビル全体が飲食店で、焼肉からイタリアンまで、雰囲気のよさそうな店が揃っているという印象。その印象に違わず翔山亭は旅館テイストの漂う上品な設えで、カウンターも広々としていた。個室に通されると、本当に箱根かどこかにみんなで旅行に来ているような雰囲気だ。ちなみに僕らは終盤近く、その雰囲気に便乗して(?)、Sちゃんが持参したウノをひと勝負やる。

ユッケもサラダもそこそこに、牛肉の炙り握りで勢いをつける。炙って歯応えの出た肉と、溶けるようなサシのバランスがいい。これなら10貫食べられる、というSちゃんの言にも同感。ただ、寿司で満腹になってはもったいない。主役は和牛一頭5種盛り。三角バラ、サーロイン、ウチモモ、ランプ、ええと、あとは何だったかなぁ。ともかくこれらは自分の好きな赤身とサシとの塩梅を試す絶好のサンプルで、霜降り三角バラの濃密さも嫌いではないけれど、僕はやっぱりウチモモやランプのような肉々しい部位が好きだ。

広尾の牛の蔵、白金のジャンボ、中目黒の鐡玄――どこでも霜降りの肉が出される素直に視覚的に盛り上がるし、普段の食事に出てこないサシの旨味や食感それ自体も楽しい。けれど、物珍しさの向こう側で結局好きなのは、軽く焼いた赤身の滋味と香味だ。それらの違いをフリルのついたドレスとスポーティなタンクトップとしか形容できない、僕の短絡な爬虫類脳をどうか許してほしい。

霜降肉ならでは、と感じるのはすき焼きだなぁ。九段下の大周楼はもう閉店してしまったらしいけれど、甘い割り下に溶け込んだ良質の牛脂って、なんだか提灯に照らされる夜桜のような豪華さがある。逆に、霜降肉をそのまま焼くと僕の胃にはちょっと派手すぎるというか。うーん、陰翳礼讃を気取ってはみたものの、単に胃が弱くなって趣味が枯れてきたのかも知れないけれど。

このお店で初めて飲んだ黒豆マッコルリ、小豆のような甘味があって、今回は僕以外の5人はみんな女性だったこともあって人気を博していた。左党の男子としては食中酒にはちょっと甘すぎて、マッコルリ「虎」くらいのきりっとした辛口の方がいいかなぁ。まぁ、そんな風に硬派を気取りながらもデザートのプリンに輝く目は隠せないのだけれど。

合格祝いにデジタル・フォトフレームをもらう。これについてはまた今度。焼肉のあとは飯田橋駅近くのダーツのお店で個室を借りて、カラオケを歌いながらダーツをする、という人生初の試みで盛り上がる。僕が歌うとみんなが揃って的を外す様子って、「ドラえもん」のジャイアン・リサイタルさながらだ。心を鬼にして、歌う。

翔山亭 神楽坂本館 (焼肉 / 飯田橋、牛込神楽坂、神楽坂)
★★★★ 4.0

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