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SNSリテラシー

Source: Linkesviewer.com

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9月11日、 スローン校の卒業生でヴェンチャー・キャピタル(VC)のキャッスル・ヴェンチャーズ(Castle Ventures)社パートナーのカール・スターンフェルト(Carl Stjernfeldt)氏の講演を聴く。これはスローン校の就職課が主催した業界案内のひとつで、スターンフェルト氏がVC業界に関心を持つ学生に対して業界の紹介と就職の助言を行う、というものだ。その講演のなかで、VC業界への足掛かりを作るにはリンクトイン(LinkedIn)が有効だし、現に彼自身も同サイトを通じて人材を探すことがある、と言っていた。ハイテクに強いVCならさもありなん、と思ったけれど、僕は翌日の新聞で野村證券が人材採用にフェイスブック(Facebook)を使ったと知って驚く。SNSへの登録を怠っていると、いつの日か、人材市場で「透明人間」になりかねないかも知れない。

9月12日付のフィナンシャル・タイムズ紙が伝えるところによると、野村證券がリーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)の新卒採用者に対して連絡を取り、150名に上るリーマンの元研修生を採用したとのこと。昨年の野村によるリーマンの欧州およびアジア部門の買収には8,500名の人員も含まれていたものの、新卒者は含まれていなかったようだ。面白いのは、野村が彼らに連絡を取る際に多くの場合フェイスブックが使われたとのこと。日本の歴史ある証券会社が――リーマン買収によって変革の最中にあるとは言え――フェイスブックで個人に連絡を取るというのはとても新鮮だ。

一方で、このアクションはSNSのユーザーとしても驚きだ。例えば、日本のミクシィやグリーやフェイスブックのユーザーのうち、勤務先を明言している人は少ないだろうと思う。また、勤務先や元勤務先の買収者から連絡が来ることを予期している人もほとんどいないだろう。破綻した勤務先に現れた買収者への”必ずしも好意的とは言えない”所感がユーザーの日記欄で乱れ飛んでいないとも限らない。そういう場合でも、野村の採用担当者は寛大にもそのユーザーに対してポジションを打診したのだろうか。言い換えればこれは、リンクトインのような職業志向のSNSではもちろんのこと、フェイスブックのような多分に個人的なSNSでも、それなりにプロフェッショナルなマナーが求められる、とも解釈できる。

窮屈と言えば窮屈な話しだけれど、一方で上述のように、大学卒業後わずか2ヶ月で就職先を解雇された若者にSNSを通じて新たな雇用主が現れた例はユーザーの利益になっている。個人がSNSやブログで社会的あるいは職業的に致命傷を負うのは想像以上に容易だろうけれど、その反面、SNSが職業的にも効用を持ち始めたのはいいニュースだ。さらに、今回の野村の例で、リンクトインではなくてフェイスブックが使われたのも――穿った見方になるかも知れないけれど――、示唆的だ。 職業的なコネクションに焦点をあてたリンクトインよりもより個人的なフェイスブックを使う理由は、企業の視点から見ても合理性がある。

理由のひとつは効率性で、もっとも一般的なSNSを最初に試すのは当然だろう。もうひとつには、今回の例でそこまで意識されていたかどうか分からないけれど、個人的なSNSの方が人材のスクリーニングには適している、という点もあり得るだろう。周到に準備された面接ではもしかしたら騙されるかも知れない雇用者も、SNS上の情報を汲み取れば候補者の人となりはより立体的に見えてくるだろう。それは候補者にとって有利にもなり得るし不利にもなり得る。ならばそれを有利な方にシフトさせよう、という動機が候補者に生じても何ら不思議はない。それは同時に、生き生きとした本音に満ちたSNSが、実社会同様に――あるいは文字に残るという点ではそれ以上に――思慮深い世辞と甘言の世界になってしまうことを意味するかも知れない。

SNSが、個人と個人、さらには、個人と企業とのコミュニケーションの在り方を変えつつあるように見える。この趨勢が今後どうなって行くのかは分からないけれど、単に「バイト先での悪事を自慢しない」とか「顧客の悪口を書かない」というべからず集を超えて、SNSを社会生活の中でどのように有効に使うべきか、というリテラシーの問題がさらに重要になっていくのは間違いないだろう。そうなると反動として、FMLのような超本音サイトへの需要が増してくるのではないだろうか。ところで、「サラリーマン川柳」って、大抵は17文字のあとに「FML」と続けても意味が通るのではないかと思ったりして。

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