- 2009-09-19 (土) 16:45
- MBA留学記


Photo: TheSyntaxError
9月17日、スローン校の日本人学生会で講演会を開催した。招聘した講師はカーライル・グループの日本における代表である安達保氏で、氏はスローン校の卒業生でもある。講演はもちろんのこと、安達氏とのコーヒー・セッションやランチは示唆に富んだもので、仕方なくサボった経済学の講義を補って余りあった。内容については別の機会に書くとして、個人的には得られた反省も大きかった。カーライル・ジャパンについてのケースを予め読んで臨んだ議論は有意義だったけれど、ふたつのニュースによって、僕は自分が「宿題」をちゃんとやらなかったことを思い知らされ、大いに後悔をする。
ひとつは、19日に発表されたウィルコム――カーライルが同社の筆頭株主となっている――の債務延長に関するニュースだ。昨晩このニュースを知って、僕は随分悔しい思いをした。例えば2月にロイターはカーライルがウィルコムの設備投資計画を撤回させたことを報じていたし、産経は8月末にカーライルがウィルコムの社長を事実上解任したことを報じていた。もちろん、僕はポートフォリオの状況を詮索すべき立場にもなければ、氏とのセッションはそのような個別の議論をする場でもない。上記のニュースを知っていたとしても、敢えて言及しなかっただろう。だから僕は「悔しい思いをする」道理はないかも知れない。
けれども、グーグルで「カーライル ウィルコム」と入力するだけで分かったはずのこれらの情報すら持たずに、何年も前に書かれたハーヴァード・ビジネス・スクールのケース――つまりは、たかが教材――を読んだだけで臨席するなんてのは、愚かしいことだった。前提となる現況への理解が深ければ、議論から察せられるものの深みも増したはずだった。仕事で誰かと会うならばやっていたであろう本来の「宿題」をやらずに、ケースを読むだけで準備を済ませた気になっていた自分の学生気分を戒める出来事だった。
もっとひどいのは17日付けフィナンシャル・タイムズの企業面一面で、カーライルもまた株式公開を検討している、と報じていた。何のために新聞を購読しているのかと呆れることに、僕はその日この見出しすらも読まずに登校していた。プライヴェート・エクイティの公開会社化という興味深いテーマを議論するのに、これほど恵まれたタイミングと相手――安達氏は日本プライベート・エクイティ協会の会長でもおられる――はなかったろうにと思うけれど、それを遭えなく逃してしまう。済んでしまったものは仕方がないから、今後の反省とするしかない。
授業が忙しさを増すにつれて、宿題をやらずに後悔をする、という事態が教室でも起こってしまう。あるクラスメートは教授にいきなり指名されて――つまり「コールド・コール」されて――質問された時にケースを読んでいないのがバレてしまった。ひたすら詫びる彼女に教授は「それは非常に良くない。これでケースを読んでいないとどうなるか分かったでしょう」と言うのだけれど、それを真横で聞く居心地の悪さといったらない。なにしろ僕もまた、そのケースを読みそびれていたからだ。
僕はとりあえず挙手し、あらん限りの想像力で意見を述べる。一度でも発言しておけばコールド・コールは受けにくいのではないかという淡い期待もあって、コールド・コールで答えに窮するよりは、安全そうなタイミングで議論に参加してしまおうという作戦だ。ともあれ、こんなのは作戦なんて呼べるようなものでもなくて、ただのその場凌ぎだ。小手先で苦境を凌いでも、宿題をやらないことで本来得られたはずの学びもまた得られない、ということには変わりがない。やっぱり宿題はやるべきなのだ。
とはいえ、時間は限られているし、僕の処理能力もそれに輪をかけて悲しいほどに限られている。そして、出される課題も膨大ならば、好奇心の膨張もまた抑えがたい。それでもなお、これらを踏まえてなお宿題を最低限――さらには、本来やるべき範囲まで――やるというのは言うほど簡単でない。組織経営を論ずるはるか手前の段階で、いま、自己管理があらためて問われているなぁと痛感する日々。
安達氏に学んだことについて「別の機会に書く」と言ったものの、僕のブログの仕掛品は日増しに増すばかりでその10分の1も書けていないのが実情だ。インプットの宿題も十分できていなければ、アウトプットの宿題も全くできていない。好奇心を満たす機会が豊富であるがゆえに、自分の不甲斐なさへの葛藤も大きい。
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カーライル・ジャパン 安達保氏 講演会@MITスローン
同じMBA出身の、財界の重鎮に会って直接話せる、というのはMBA生のひとつの特権かもしれない。先週木曜(9/17)は、カーライルグループの日本共同代表の安達保氏(1983 MITスローンMBA卒)…


