Home > MBA留学記 > 標準偏差、村上隆、金利先物。

標準偏差、村上隆、金利先物。

9月18日に美術品貸出プログラムに応募したところ、9月22日に早速当選の通知が届く。ただし、そのメールは「選んだ3作品のうちの1つが割り当てられた」と言うのみでどの作品かは分からない。きょう授業の合間にMITリスト・ヴィジュアル・アート・センターに行くと、それはなんと、甲乙つけがたく第2希望とした村上隆の「Jellyfish Eyes」だった。投票したときに想像した以上に、美術品を預かるというのは興奮する出来事だった。昨晩は学校を出たのが深夜2時半という、有意義ながらも荒んだ生活なので、芸術が与えてくれる潤いが却って際立つ。

統計の授業とファイナンスの授業の合間に、居合わせたクラスメイトと美術品貸出プログラムの話になった。話題はアメリカの美術家の話になり、ある仲間はエドワード・ホッパーが好きだといい、別の仲間はジョージア・オキーフがいいという。あるチームメイトは写真家のアンセル・アダムスがお気に入りといい、僕は東京の自宅の玄関に飾ったアダムスの写真を思い出す。昨夏にヨセミテ国立公園で買ったものだ。標準偏差だとか金利先物だとかという話題の合間にする美術の話というのは――それが単に好みの美術家を挙げるというだけでも――、際立って楽しい。

そしてまさにそのファイナンスの授業のあと、僕はリスト・センターで村上隆作品の収まった丸い額を受け取ることになる。これを持って残り半日を――あるいはもっと長い時間を――過ごすのは厄介だし、何よりも作品はもとより額を傷つけたりもしたくない。そこで、授業の合間にこれを一旦家に持ち帰って置いてくることにする。この戦利品についてブラックベリーからツイッターに書くと、台湾人のクラスメイトも作品をあてがわれたと言う。訊けば彼女は希望通り奈良美智の絵をもらったそうで、「100万ドルの宝くじに当たったみたい!」とフェイスブックに書いていた。「奈良美智在我家!!!」といって奈良の画集を並べて絵の写真を撮っているくらいだから、よほどのファンだろう。いち日本人として勝手に喜ばしい。

いま僕は夜11時の学校のロビーにいる。周りのテーブルではクラスメイトたちが勉強なり議論なりをしていて、2階と3階にはまだ2ダースばかりの仲間がいるはずだ。僕もあと2時間ほどはここにいることになりそうで、つまり、部屋にある村上作品はなかなか堪能できていない。それでも「部屋にそれがある」という事実は、ただそれだけで、どれほど心躍るものであることか。

関連記事:

blog comments powered by Disqus

Home > MBA留学記 > 標準偏差、村上隆、金利先物。

Return to page top