- 2009-12-03 (木) 0:59
- MBA留学記

昨日受けたロイチョウドゥリー教授の財務会計の授業は、とびきり良かった。扱った事例は2002年に会社更生となったワールドコムの不正会計。この授業では、教授が授業を締めくくった次の言葉が印象的だった。「会計の詳細を知らなければ、会計が何を捉えようとしているのか、また、どのような行為がその精神に反するのかは理解できません。ですからこの授業があるのです。」
授業はまず、ワールドコムの粉飾決算の中心となった(1)未払費用の取り崩しと(2)支払費用の資産計上についての議論になる。いずれも当期利益の増加につながり同社が経営指標としていた営業利益率の維持に寄与するものだ。
面白かったのは、ロイチョウドゥリー教授はクラスに対して「ワールドコムのCFOの立場でこれらの会計処理の妥当性を主張せよ」と言う。ワールドコムが不正な会計処理を行ったと知って事例を読んだ僕たちが、敢えて劣勢の側で論陣を張るのはいい頭の体操になる。
教授はその上で「次は検察側の立場でワールドコムの主張を論破せよ」と、学生の視点を変える。そうなると、例えば契約済みの回線帯域はやはり在庫というよりも費用の性質を持つ点など、ワールドコム側の主張の弱点を思い知らされることになる。
言い換えれば、この両面の議論の結果として「正しい会計」の存在を推定させられることになる。財務会計が孕む見積もりの問題はかねて授業で議論されてきたけれど、とはいえ、ある一線を越えるとその「見積もり」が「粉飾」に転じることをワールドコムに学ぶ。
この一線がどこにあるのか、という議論自体は最終的には専門家に委ねるとしても、どのあたりに危険性が潜むかという感覚は細部への理解に基づく、というのが教授の主張だ。「全体としてこういう精神だから細部はこのようになっているはずだ」という演繹的な発想だけでは実務が回らないのは僕も実感としてよく分かる一方で、「木を見て森を観ず」では面白くない。
この90分の授業で木と森がハッキリと映るわけではないけれど、ロイチョウドゥリー教授の思いが伝わるいい授業でした。
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