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首相主導政治:小泉政権とその後 - ハーヴァード大学で河野太郎氏が講演

12月14日、ハーヴァード大学ウェザーヘッド国際問題研究所の日米関係プログラムが衆議院議員の河野太郎氏と政治学者の信田智人氏を招聘し、「首相主導政治: 小泉政権とその後(Prime Ministerial Leadership: Koizumi and Beyond )」という演題のパネル・ディスカッションを開催した。エズラ・ヴォーゲル教授が進行役とのことで案内をもらい、期末試験の合間に駆け付け、信田氏のスピーチは逃してしまったのだけれど、河野氏のスピーチと質疑応答には間に合った。自民党は「小さい政府」で来夏の選挙を勝てるのだろうか。

河野氏は、「小さな政府」こそが自民党の主張となる、と言う。けれど、会場からの「小さな政府で選挙に勝てるのか?」という質問に対する、「『小さな政府』というよりは『大きな”小さな政府”(a big small government)です』」という返答はさすがに歯切れが悪かった。ただ一方で、野党自民党という視点で日本の政治を振り返る話は面白かった。

自民党に近しい産業ほど国際競争力がないのです、と河野氏は言う。「自民党の助けを必要としてきたのは負けつつある産業で、自民党もまた、その彼らの票を必要としてきました」。けれど、野党となったいま、「自民党は65歳の農家を気にする必要はありません。彼らも自民党を気にしていないでしょう」と河野氏。質疑応答で日本のコメ農家の平均年齢は65歳で、10年もすれば影響力がなくなると言う。さらに、平日は別に仕事をして所得がある人が、自家用だけに(市場には出さずに)週末にコメ作りをする場合でもコメ農家として補助金を受けていると指摘。

さらに、日本初の自由貿易協定(FTA)の締結先がシンガポールであった本当の理由は同国が農業輸出国でないからで、その交渉が6ヶ月も長引いたのは、同国が実は漁業輸出国だったから、とのこと。ちなみにこれらは、外務省のサイトでは一言も触れられていない。食料自給率についても、食料を輸入できるから輸入するのであって、現在の低自給率を安全保障に絡めて主張するのは農水省の予算獲得戦略だと言う。

続けて河野氏は、労働人口を建設業からより生産性の高い産業に移動させることが重要だとして、受け皿となる労働集約的な産業は観光業だと言う。その一方で、2040年の日本は、高齢者と女性の労働参画を以ってしても労働力不足となり、日本は移民に門戸を開くべきだ、と話す。現在の日本は現に「訓練生」として中国から学生を受け入れており、その実態は安い労働力に他ならない、という。そのようにして開けていた裏口を閉ざし、表口を開けるべきだ、というのが氏の主張。

今後の日本政治については、民主党の支持母体と資金源が労働組合であり、それを纏めているのが小沢氏である、とした上で、河野氏は日本は所得再配分を強調する民主党と小さな政府を掲げる自民党の二大政党政治になる、と言う。それは、米国の民主党と共和党、あるいは英国の労働党と保守党のように、と。そのために、「23世紀の日本のように高齢化した自民党」を若返らせることが必要で、山崎拓氏には引退してもらわなければならない、と名前を挙げる。古参議員が出馬することで仮に10万票が集まったとしても、それ以上に若者の票を逃すことになる、と言う。

一方で会場からは「なぜ選挙に負けるまで自民党の戦略を変えられなかったのか」という手厳しい質問もあり、党内の複雑な利害関係を説明しつつ、「民主党が勝ったのではなく自民党が負けたのだ」と回答。これは僕の印象だけれども、来夏の選挙では全く同様に「自民党が勝ったのではなく民主党が負けたのだ」という状況が生まれるかも知れないけれど、このレトリックは日本の将来を占うには余りにも心許ない。

ヴォーゲル教授が9月に話していた「日本は民主的になりすぎたかも知れない」という言葉が蘇る。高齢化社会が訪れて日本の国際競争力が新興諸国からの脅威に晒されたら、有権者が高福祉と保護政策を求めるのは個々人にとって合理的な選択かも知れない。この予見可能な部分最適に甘んじて、財政問題と国際競争力の維持に先手を打たなかったのがここ20年の失政だろう。現状の有権者というスナップショットの国益のみならず、10年後20年後の国益を動的に規定すること、――本講演のように「首相主導」と呼ぼうとヴォーゲル流に「国家戦略」と呼ぼうと――いまの日本に必要なのはそういう「大きな絵」なんじゃないかな。なんて、門外漢のクセに思う

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