- 2010-04-19 (月) 16:54
- MBA留学記


3月25日、日本視察旅行の一環で自由民主党の谷垣総裁と昼食会。同党本部に足を踏み入れたことはなかったし、まさかその機会が来るとも思わなかった。外国人学生を案内するという口実で、結果として僕たち日本人学生にとっても貴重な経験となった。逐次通訳を挟んだ約1時間のセッションで正味のスピーチは30分ほどだったけれど、谷垣氏の説明は明瞭で、日本の戦後政治史を振り返る好機だった。半年振りのカレーライスを食べながら伺った谷垣氏のスピーチと質疑応答、要旨はおよそ次のとおり。
現在の政治環境
自民党は終戦以後再配分を重視した政策を掲げ、結果として日本は、国民の90パーセントが自らを「中流階級」と看做すまでになった。しかし、財政赤字に対処するべく近年「小さな政府」に舵を切ったところ、格差拡大や生活保護受給世帯の増大を招いた。そこへ社会主義的政策とポピュリスト的バラマキを掲げる民主党が票を集め、政権交代となった。現在の日本の会計予算は37兆円の税収に対して国債発行額が44兆円とそれを上回り、敗戦直後の1946年以来の異常な財政悪化を経験している。自民党は今後、再配分のためのバラマキではなく、教育・科学技術分野などの公共財に対する投資を進めていく方針。
経済環境と外交
日本の合計特殊出生率は1.2を割り込んでおり、日本は少子化・人口減少のトレンドにある。ゆえに内需拡大は難しく、アジアの経済成長が生み出す「アジアの内需」を取り込む経済政策が望ましい。日本にとって中国は最大の貿易相手国となっており、過去の関係や互いのナショナリズムを乗り越えた関係構築が必要。そのために、「過去のダメージ・コントロール」が日本の政治に求められる。一方で、中国の軍備近代化には懸念を持っており、日本の脅威とならなぬよう情報の透明化を求めていく。この環境下で日米同盟の重要性は増しており、日米同盟は日本のみならずアジア諸国にとっても安全保障のインフラになると考えている。
質疑応答1 - 今後の輸出産業は?
原子力発電、新幹線、[自分のメモが汚くて読めず]の3つ。韓国の自動車産業はIMFの介入によって財閥1-2社の寡占状態となっている。日本国内市場では様々な業界で競争が激しくなっている。キリン-サントリーの合併のような試みが必要になってくる。
質疑応答2 - 中国の脅威に対処するために独自の軍備増強は?
それはない。あくまでも日米安保体制によって防衛を行う。なお、今までは日本側は主として基地を提供するに留まっており、アメリカに一方的に依存してきた。しかし、9.11以降アメリカ自身も脅威に晒されることが分かった。日本がアメリカに対して何をなすべきか、見直しが必要。
※以上、発言は全て大意。
所感
日本の戦後政治史のレビューとして興味深かった。ただし、単年度の国債発行額について現政権を批判しても、既発国債の累積額については自民党政権の旧弊であって、論点としては諸刃の剣という印象。一方で、韓国における寡占やキリン-サントリーの合併模索が競争力の観点から好意的に語られていたのは新鮮。昨年ハーヴァード大学で講演した河野太郎氏ほどではないにせよ、国内産業保護から国際競争力向上に同党の重心が移るモメンタムを感じた。「独自の軍備増強は?」なんて質問が出るのは外国人ならではか。外の視点の刺激を感じた一幕。

ロビーには歴代総裁の写真。日本の半世紀が凝縮されている。
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Miki
