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幸福のフィクションを追い求める、人々のリアル - ケビン・ベルリン「ダブル・ハピネス」展

KevinBerlin
11月11日、建築家の友人に誘われるまま、画家ケビン・ベルリンの個展レセプションに参加。マンハッタンのロウアー・イースト・サイドにあるマーク・ミラー・ギャラリーで、このアメリカ人画家から、彼が上海で製作した作品や同地での経験について話を聴く。タバコやバッグのブランド、そしてそれらに対する人々の関心を描く彼にとって、上海ほどに適した土地はないだろうと感じられた。

「ダブル・ハピネス」というテーマは、「喜喜」という中国製タバコのブランド名に由来する。訪問先の上海でタクシーを降りたベルリンは何かを踏みつけたことに気づき、ふと拾い上げたのがそのタバコだったという。この画家は、まず「数えられない幸福が2倍とは一体どういうことだろうか」と興味を持ち、さらに、「2倍もの幸福が道端に捨てられている」という自らの発見に刺激を受けたと話す。

ベルリンは「喜喜」や「中華」といったタバコのパッケージの他に、プラダやシャネルなどの「偽物の」バッグを写実的に描く。それらは「PRADA」ではなく「PLADA」と書かれていたり、「CC」ではなく「OO」のロゴが配されていたりする。画家は、「なぜ人々が、ブランドがなくても上質なこれらのカバンに偽物のロゴをつけ、偽物と分かっていながら路上で買うのか、それが面白い」と言う。そして、イタリアのベニスで警官と偽物を売る露天商が繰り広げるイタチごっこの話をする。

中国ではタバコの銘柄がステータスシンボルになっており、1箱14ドルもする「中華」に対する中国人の欲望も面白いという。「少なくとも私には、味の違いが分からなかった」と画家は話す。下の油彩「East Meets West」では、「左から順に強いものを描いた」という。左端から、成功した実業家、画家本人を模した「ジェームズ・ボンドのような」男、若い男、美しく若い女、実業家の妻の友人、実業家の妻、屋外の物乞い、だそうだ。

ベルリンは、人々が抱くステータスへの憧憬に理解を示し、その客体を時に写実的に、時に象徴的に描く。その筆致から筆者が感じた画家の視点は、風刺的あるいは皮肉なものではなく、どこかしら共感的なものだった。それを特に感じたのは「Steamed Buns」と題された下の油彩で、露天の店先で饅頭を頬張る二人の男の絵だ。「ひとりはスーツを着たビジネスマンで、もうひとりは肉体労働者風です。しかし、いずれも本当に美味しそうに饅頭を食べているのです」と画家は説明した。さらに、「あの饅頭の美味しさを思い出すと、彼らの目鼻立ちまで自然に描けてしまうのです」という。

タバコの銘柄やバッグのブランド(それが本物であろうと偽物であろうと)など、それは巧妙なフィクションでしかない。それらを集めても、幸福が定量的に2倍になるかは眉唾ものだ。しかし、それらを求める人々の熱意はまた、誰もを分け隔てなく喜ばせる饅頭のように、リアルなものだ。この奇妙な同居を、経済成長に湧く上海で、異邦人の画家がある種の愛情を持って描いているのが面白い。ベルリンは、「善し悪しを判断するつもりはありません。まるで幼い子どもが『これは何?』と聞いて回るように、私は絵を描きたいのです」と話していた。

余談だけれど、会場にいたある中国人が、中国では役人が吸うタバコや身につける腕時計の映像や画像を集めているサイトがあるのです、と教えてくれた。その銘柄が分不相応なものだと、その役人は賄賂を受け取っているのではないか、と話題になるのだという。ブランドを巡る悲喜こもごも。

レセプションのあと、画廊のオーナーであるミラー氏が薦めてくれたバネッサズ・ダンプリング・ハウスという近所の餃子店に寄る。餃子は4つで1ドル、肉饅頭は3つで1ドルという、マンハッタンとは思えない破格の値段と作りたての美味しさで、店内は大賑わい。饅頭はリアルだ。その事実をあらためて念押ししたミラー氏の計らいに脱帽。

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  • Yuki Kosano

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