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セル生産方式のドライビング・レンジ

 きのうのゴルフで、M君におもしろい話を聞いた。打ちっ放しでゴルフの練習をするとき、コースを回っていることをイメージするのだそうだ。いわく、1球目をドライバーで打って球が左にそれたら、2球目を右に向けてアイアンで打って、その距離感が違ったら3球目をウェッジで打って微調整するとか。


 その話を聞いたとき、僕はゴルフというのは練習に至ってもなお、かくも内省的なスポーツなのかと半ば辟易した。けれど、同時に僕は、きのう自己ベストの107を叩き出したこともあって士気も高揚していたから、きょう早速試してみた。目黒ゴルフ練習場でアイアンを100球ほど打って、ちょっと飽きてきたところで半信半疑でやってみて、これがなかなかいい練習方法だと悟った。

 たとえばドライバーばっかり打っていると、段々調子が出てきて上手くなった気がする。でも、本番で3球連続でドライバーを打つ機会なんてなくて、大事なのは最初の1球だけだ。アイアンも同じ。ウェッジも同じ。1打ごとにクラブを変えればそういうリアリティに否応なく気づく。1球の大事さ、1打の重み。いままではただ打ちっ放してただけだから、こんなのなかったなぁ。

 そして、1球1球にストーリーが出てくるわけだから、やってて楽しい。打球が左に曲がったとしても、いままでは「あーあ。ま、次いくか、次!」って感じだったのが、この練習方法だと「よし次でリカバリーしよう」ってな具合で前向きかつ現実的になってくる。それまで50球打っても漠然とした満足感しかなかったのが、5球打てばホールアウトしたかのような達成感が湧いてくる。

 これって、同じ箇所をひたすら加工するベルトコンベアーの流れ作業方式から、ひとりひとりが最後までひとつの製品を製造するセル生産方式への転換だ。なるほど。ゴルフが、原料であるただひとつの球をして18の工程を通過せしめる作業だとしたら、大量生産というよりもハンドメイドな製造業なんだから、練習方法もそれに則った形がいいわけだ、と納得。

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